本物の自己肯定感を育てたい
承認欲求は誰にでもあるものですが、なかにはそれが人一倍強く、
自分の存在をアピールし認めてもらおうとする人がいます。
常に自分のほうに目を向けて欲しい気持ちが強い人は、
自己顕示欲が強いと言えるのでしょう。
子どもの知り合いに、常に自分が目立っていないと気が済まない子がいました。
生徒会、学級委員、グループのリーダーなどには必ず立候補。
それだけなら「やる気に満ちた子」なのですが、
自分よりも下に見ている子が立候補すると、潰そうとしてくるんです。
でも、話を聞いている限りでは、その子が下に見ていた子のほうが実際の実力は上だったりすることのほうが多いようです。
手あたり次第に何でもやりたがる子って、本当にその役がやりたいのではなくて、
人より上にいたい・目立ちたい・勝ちたい気持ちのほうが強いのかも。
どうしてそこまでして上でいたいのか。
もしかしたら、親に褒めてもらいたいのかな?
目立たないと認めてもらえないと思っているのかな?
と、深読みしてしまった私。考え過ぎでしょうかね(^^;
うちの子どもも その子から、自分がやりたいポジションを
譲るように言われたことがあったんです。
でも、うちの子もその役に就きたいわけで、そうなるとオーディションだったり投票で決めるわけです。
でも、いざオーディションをすると決まると、迷っているからと言って
期日を引き延ばし、延期したオーディション当日には姿を現さない。
結局 辞退するというパターンでした(*_*)
周りの子も巻き込んで陰口を言われたりして、
あの時は本当に振り回されました。
お世辞にも互角の実力とは言えないレベルだったので、
オーディションをしても勝てる自信がなかったのだと思います。
でも絶対負けを認めないし、自分の実力が下だとは思いたくないんですよね。
話を聞いていて、なんだかその子が苦しそうだなと思いました。
そこまで虚勢を張ってでも得たいものって何?
その子は大人になってもこのままなんだろうか。
よく、
「○○ちゃんには絶対に負けちゃダメだからね!」
「○○くんよりも良い順位をとって」
みたいなことを言う親御さん、結構いそうですよね(汗)
これは、煽っている親が悪いと思います。
親が負けたくないんですよね(^^;
これを続けると、子どももライバル心剥き出しになります。
うちの子が幼稚園の頃、何でも器用にできる子がいて、
その子にライバル心を持った親子がいたんです。
小学生になった頃、さらに対抗心剥き出しで接してくるようになり、
親子で「あなたには絶対負けないから」と宣戦布告。
でも、相手はある分野で全国レベルの実力なので敵わないんです。
それでも、相手を認めようとせず、学校の成績とか体育の成績とか
ありとあらゆる分野でその子に粘着する親子。
我が家からすれば、その子だって運動神経も頭もよくて、
何でも努力で頑張っている素晴らしいお子さんなのに。
そんなにすべてを手に入れたいか~?って思っていました(^^;
でも、そんな狭い世界で勝ったとしても、ちょっと上の世界へ行くと
自分より上の人なんて たーーーくさんいるんですよね(^^;
井の中の蛙状態で満足しているのは、ちょっと違うかなと。
狭い世界で承認欲求を満たしたいだけなのかなと思います。
世の中には、どんなに背伸びしても努力しても手に入らないものが
沢山あります。
勝ち負けだってそうです。上には上がいる。
たとえ負けたとしても、相手を認め、自分の実力を一旦受け止め、
そこから目標を立てて一歩ずつクリアしていくことが大切なのだと思うんです。
おそらく「何でも立候補する子」も「ターゲットに負けたくない子」も、
身近な人や集団の中での勝ち負けや上のポジションでいることで
自分の価値を感じているのかもしれません。
目立ったり勝てたことで承認欲求や自己顕示欲は満たされたように見えても、
それが本当の自信(自己肯定感)につながるかどうかは疑問だし、
逆に負けてしまった場合、それをを受け止めることや相手を尊重すること、自分の挑戦するひたむきな気持ちなどが育たないまま大人になってしまいそう。
自分に都合の悪いものに目を向けたら自信をなくしてしまいそうだから、
見たくないんですよね。
大人になっても「私が、私が」と自己アピールをし、身近な相手に
マウンティングしてくる人がいますが、子どもの頃から勝ち負けや自分より上か下かにこだわってきたのだろうなと想像できます。でも、どこか自信が持てない。そんな人が多いように感じます。
そして、子どもを持ったら今度は我が子の勝ち負けで自分の存在価値を見出すようになるのではないかと思います。
他者との比較で自分が優れていれば、分かりやすく自分を肯定できますが、
もっと優れている子を目の前にすれば簡単に崩れてしまいますから(汗)
揺るぎのない「自己肯定感」をつくるのは、昨日の自分よりもよくなっているという実感です。
「自分はできないことでもがんばって、できるようになってきた。だからまたできないことがあってもなんとかなるだろう」
本物の「自己肯定感」を持つ子は そう考えるようになります。
(引用元:高濱正伸・西郡文啓著『ちゃんと失敗する子の育て方』)
これは、私自身にも言えることだなと思っています。
自己肯定感が低めなので、子どもがたまたま何かで賞をとったとか
順位が上だった時、まるで自分が褒められているような気分になってしまうことが
あったなと。
だけどそれはちょっと危険で、子どもに過度な期待をして一喜一憂したり
知らず知らずのうちにプレッシャーをかけてしまっていることもあるので、
気を付けなければと思っています。
負けたら悔しいけれど、だからといってダメ人間になるわけではない。
そこに辿り着くまでの過程をちゃんと褒めてあげて、
子どもには本物の自己肯定感を育ててあげたいですね。